初めての北欧遠征 その5

さてさて、スウェーデンでのライブ本編へ参ります。

この日の気温は6度。思ったより高くて安心しました。以前の記事でも書きましたが、日本で調べた時点では、もっと寒く、ライブの日はすべて雨もしくは雪のはずでした。この日は曇りで夜から雨っぽかったのですが、会場前で並んでいるときにずーっと雨に晒されるよりは遥かにマシです。

ホテルの朝食ビュッフェ。内容はどこもそう変わらないけど、野菜やフルーツがシャキシャキしていて食べ応えがあって美味しかったです。あと、ヨーグルトにはやっぱりベリーソース!粒々した食感と酸味で元気が出ます。

ちょっと感動したのがこれ。タブレットで操作をすると蛇口からドリンクが出てきます。近未来感。。。


そしてランチの後、ミーグリをするために会場に向かい、入り口前でスウェーデン人のカップルと2年ぶりの再会。彼らとは、2017年のAlter BridgeのRoyal Albert Hall(イギリス)公演前のプレパーティで会って以来でした。実は今回スウェーデンのライブチケットが自力で取れず(おそらくクレカの請求先住所が日本だから?)、仕方なくリセールサイトで買ったのですが、あまり評判のよくないサイトだったので不安に駆られ、彼女に公式チケットの代理購入をお願いしていました。プレパーティでは私が大のH.e.a.tファンということを話していて、彼女もそれを覚えていてくれたので、チケット購入を快くOKしてくれました。まさにAlter BridgeとH.e.a.tが繋いでくれた縁。。。感謝感謝です。

そして中に入ってサウンドチェック。

まいちゃが自分のギターの音に納得がいっていなかったようで、テックの人に「何でこれこんなにうるさいの?」とか色々言っていました。そう言えば今回いつもと違うテックの人でちょっとびっくり。いつもの人はかなり長く一緒に仕事をしていて、まいちゃの代わりにギターを弾くくらい信頼されていたんですが、何かあったのでしょうか。まぁツアークルーはAlter Bridgeの他にもいろんなバンドのお世話で世界を回っているので、今回たまたまスケジュールが合わなかったのかもしれませんね。(もしくは大人の事情)


そしてミーグリです。会場によって人数にかなり開きがありますが、この日は25人くらいでこじんまりしていました。ミーグリを仕切っている女性から「ノーハグ、ノーキス、ノーシェイクハンズ」のお達しがあり、フィストバンプのみOKとのことでした。この後のツアーでは、これが解除されていたみたいなので、行けた人達はラッキーでしたね。ツイッターで見かけたような気がしますが、以前まいちゃが「北欧に来るといつも病気になる」と言っていたとかいないとか。うーん、北欧は清潔なイメージが私には強いですが、たまたま不運が続いたのかもしれません。なので、安全をとる意味でこういう措置が取られるのはやむなし。彼らはミュージシャンだし、良い演奏で音楽を聞かせるのが本業。そしてボーカルであるまいちゃは、自身の健康と楽器である喉を守る必要があります。


私はフィンランド公演の翌日から全く声が出なくなってしまったので、ハグできないことよりもそっちの方が辛かったです。(ハグもしたかったけど)2016年の渡英時もやはり声が出なくて、悲しすぎてホテルで泣きました。あれはカーディフ公演だったと思いますが、「今日のライブは録音してるよ」とアナウンスされていたのに、そこに私の声は入っていないんだと思うと、悲しみで胸が潰れそうな気持ちになって(大げさ)、出待ちもやめてしまいました。(結局、録音は音源出ず)声が出ないと、大好きな曲でもシンガロングできないし、落ちてるギターピックをセキュリティの人に取ってもらうこともできない(そこ?)。ミーグリで直接「あなたたちの音楽が大好きです」と伝えることもできません。


ただ今回は2回目だったので、悲しい気持ちはありつつも「またかー」と開き直っていました。好きな人に会えるのに声が出ないなんて、人魚姫みたい。。などと悲劇のヒロインぶってみましたが、まぁライブが見られれば本望。それが一番の目的なのでね。で、ただミーグリで黙っているのもアレなので、ホテルのデスクにあったメモ用紙に「声が出なくて、喋れなくてごめんなさい。でもあなた達に会えてハッピーです」と英語で書いて持っていきました。


いよいよ私の順番。フィストバンプはする気が起きなかったので、とりあえずメモを広げて一番手前にいたまいちゃとブライアンに見せました。二人が読み終わったらフリップとマークにも見せようと思っていたので、両手で開いてしっかり握っていたのですが、まいちゃが読みながらどんどんこっちに近づいてきます。(サングラスをしていて、よく見えなかったと思われます)そして手を伸ばして紙を取ろうとしたので、いや、他の人にも見せないと、と焦ったのですが、近づいて来るまいちゃに根負けして手渡してしまいました。そうしたら、読み終えたまいちゃが「Oh, good to see you!」と笑いながらメモを自分のお尻ポケットに突っ込んでしまいました。

ノーーーーーーーーーーーー!

「プレゼントを渡すならスタッフに」と事前に言われていたので、プレゼントじゃないけど何か渡すのはまずい、出禁にだけはなりたくない、と思ってジェスチャーで「その紙を返して!」とアピールしたものの、何せ声が出ないので通じない。まいちゃはキョトンとしています。でも、撮影をしてくれたスタッフの方が「メモは後で私がもらっとくから」と言ってくれたので、諦めてそのまま撮影ポジションへ。この時マークが手を伸ばして招いてくれていたのにテンパってしまい、すぐ写真撮影となりました。(テンパリすぎ)

スタッフに言われて「あれ、この紙のこと?」とポケットからメモを取り出すまいちゃ。そして私が見ていないことに気づいて手を降ろすマークの図。

「触ってはいけない。。。」と思いながら苦し紛れのダブルピースをする私。(別に肩を組むくらいは禁止されていない)そして再び尻ポケットにメモをしまうまいちゃ。忘れてそのまま洗濯していないことを祈ります。


あと、この写真からはわかりづらいですが、メンバー一人一人の顔を見て行った時に、みんなとても優しい笑顔だったのが嬉しかったです。ミーグリだから当たり前なんでしょうけど、久々に帰ってきたな〜という気がしました。


そしてミーグリが終わり、数時間してからいよいよライブがスタート。申し訳ないけど、The Raven Ageは割愛させていただきます。(ごめんね。。)


Shinedownは、またまた最高でした。前回の記事でも最高of最高って書いたけど、撤回します。今回の方が最高でした!(最高の意味)前回はボーカルのブレントの喉の調子が悪く、ところどころ声がかすれており、最後の曲は歌い切れていませんでした。(それでもめちゃくちゃ良かったけど)でも今回はすっかり調子が戻った様子。さすがプロフェッショナルです。中日の間に治してくれたんですね。セットリストはこんな感じ。


1. Devil

2. Diamond Eyes

3. Enemies

4. Monsters

5. Get Up

6. Cut the Cord

7. Second Chance

8. Simple Man

9. Sound of Madness

10. Brilliant


曲順は前回と入れ替わっていますが、基本的に中身は同じ。ただフィンランド公演からBrilliantが追加されています。調子が戻った証拠でしょう。前回のライブから「ここで暴れすぎるとAlter Bridgeまで体力がもたない」と学んだはずなのに、ブレントの調子が上がるのにつられてこっちまでテンションが爆上がりし、結局またぐったりするまではしゃぎました。

私のしょぼい写真では彼らのはちゃめちゃなパワーが伝わらなくて歯痒いですが、気になる人はぜひライブ映像などを見てみてください。本当にすごいから。通常、サポートアクトってどうしてもアウェー感が出がちですが、Shinedownは人気バンドなだけあって北欧でもファンが多く、会場は大盛り上がり。合唱も起こるので、まるで彼らのワンマンツアーを見ているような錯覚に陥ります。(彼らのライブ動画の一部をインスタグラムにアップしたところ、あっという間に再生回数が1000回を超えました。。。すごい)


演奏技術の高さや歌のうまさ、楽曲の良さもさる事ながら、やっぱり彼らを語る上で欠かせないのはその圧倒的なエネルギーです。フロントマンたるブレントは勿論のこと、ギターのザックやベースのエリックもアグレッシブにステージを縦横無尽に駆け巡り、クルクル回ったり跳ねたり、観客を煽ったりしています。ドラムのバリーは流石に動けませんが、スティックを振り上げるたびに特徴的なドレッドヘアが大きく跳ね上がり、見ているこちらも思わずヘドバンしてしまいます。


ブレントは歌とパフォーマンスにフォーカス。身振り手振りも大きく、「魅せる」演出に長けていて、ショウマンシップがすごい。これぞエンターテイメント!という感じで、観客の目を釘付けにさせるカリスマ性があります。例えるなら、Hovetという大きな船に乗った観客を先頭で指揮する船長といった感じ。ストックホルム 公演はちょっと忘れましたが、フィンランドでは途中でステージを降り、まるでモーセのように観客を真ん中から真っ二つに分けて間を駆け抜けていき、後方のファンにも声をかけていたのが楽しかったです。

以前に彼らのライブを見て、あまり好きではなかった、と言っていた人が「今回のライブを見ていいと思った」と言っていたので、本当に嬉しくなりました。少しでも多くの人に彼らの素晴らしさを知ってもらい、どうか日本にもまた来てくれますようにと祈らずにはいられません。短いセットだったけど、またまた大満足のライブでした。


そしていよいよAlter Bridge。サウンドチェックの時にまいちゃが言っていたギターの問題は解決していたようで良かったです。こちらもさすがプロフェッショナルですね。そしてセットリストはこちら。


1. Wouldn't t You Rather

2. Isolation

3. Come to Life

4. Pay No Mind

5. Ghost of Days Gone By

6. Native Son

7. Rise Today

8. White Knuckles

9. In the Deep

10. Waters Rising

11. Watch Over You

12. Cry of Achilles

13. Blackbird

14. Open Your Eyes

15. Metalingus

16. Godspeed

17. Addicted to Pain


はい、最初に謝っておきますが、最後の曲はOpen Your Eyesではありませんね!前回「ライブの最後に演奏されるど定番」と書きましたが、違いました。ごめんなさい。今までのライブでは確かにOpen Your EyesやRise Todayで締めることが多かったと記憶しているんですが、他の曲で終わるパターンもいくつかありました。別にこだわってなかったですね!(笑)

今回の曲数はフィンランドと同じで、White Knuckles、In the Deep、Watch Over Youの3曲が新たにイン。White Knucklesは彼らの2作目のアルバム『Blackbird』から。ファンが好んで歌詞のパワーフレーズ「Only the strong survive(=強い者だけが生き残る)」を使っているのをよく見ます。ここだけ見るとなんてマッチョな歌詞!と思いがちですが、全体を通して読んでみると案外そうでもないです。でもサウンドはメタル色が強く、マッチョそのもの。だからなのか、よく「Alter Bridgeはメタルバンドなのか?」という質問がされますが(先日フィンランドで会った日本人の方にも聞かれました)、最近のインタビューでマークが改めて否定していました。「メタルに影響を受けたハードロックバンドだ」と。


そしてIn the Deepは新アルバム『Walk The Sky』から。公式MVがあるので、お時間がある方はご覧ください。

アルバムのアートワークが、空に浮遊する真っ赤なドレスの女性なのに対し、こちらは海に沈んでいく真っ白なドレスの女性。アルバムタイトルは『Walk The Sky』ですが、この曲は「In The Deep」なので正反対のイメージですね。これもアップリフティングなかっこいい曲なのですが、私が気になったのはその歌詞。「I'm slowly fading in your arms」というフレーズがあってfade=消える、だとばかり思っていた私は「恋人の腕の中でとろけちゃうってこと?うふふ」などと呑気に考えていたんですが、調べてみるとfadeには「衰退する」「褪せる」「意識が薄れていく/眠くなっていく」といった意味があるようです。歌詞カードには「お前の腕の中で俺は徐々に弱っていく」と書かれていますが、これだとこの「お前」が「俺」のエネルギーを吸い取る悪いもののような気がします。(そういう意図ではないかもしれませんが)これより前に「傍にお前がいれば楽園は決して遠い彼方ではない」という歌詞があるので、「お前」は「俺」にとって良い存在であるはず。どっちどっち???などと面倒くさいことを考えてしまうファンですみません。(翻訳素人なので気にしないでください)歌詞はさておき、この曲はまいちゃの伸びやか〜な美声がとっても引き立ちます。あとフリップのドラムが最っっっ高にパワフルで、何だろう、外はカリッ、中はもちもちの焼き立てトーストみたいな(?)感じで、歯切れがいいのに引きもあり、とにかくAlter Bridge節が炸裂しています。そう、私結構ドラムを見ているんですけど、フリップのドラミングは超・超・超かっこいいです。普段おもしろキャラなので、あんまりかっこいいイメージはないんですが(失礼)ドラムの前に座るともう神が降臨します。ライブを見る機会があれば、ぜひ注目してみてください。

そしてこの日やっとWatch Over Youが解禁されました。これもアルバム『Blackbird』から。ステージ上に椅子を置いて、まいちゃが一人でアコギをかき鳴らしながら歌うのが定番の曲ですが、この日は違いました。ステージ上に椅子はなく、まいちゃが最初一人で歌っていましたが、途中でメンバー全員が演奏に合流。初めて見るバンドスタイルのWatch Over Youで、嬉しい驚きでした。バックスクリーンには歌詞に合わせて、雪の降り積もるイメージ映像が流れており、とても綺麗でした。そして何と言っても一番嬉しかったのは、「Who'll ease your pain? Ease your pain?」という歌詞の部分で、2回目の「Ease your pain」がアルバムと同じ音程だったこと。ライブだといつも変えてくるのですが、今回は私の好きなアルバムバージョンが聴けて良かったです。


ちょっと長くなったので、あとは写真でお楽しみくださいませ。

マークの胸板の厚さがすごい。背筋もすごい。まいちゃも華奢だけど、上腕二頭筋がすごいです。ブライアンも脱ぐとすごいんですよ。(語彙の崩壊)ライブレポというより筋肉レポになってますね。すみません。でも彼らが楽器を自在に操ったり、ハードなツアー生活を最後までこなせるように日々ワークアウトして健康を維持しているのかと思うと、その賜物である筋肉にも称賛の目を向けないわけにはいきません。(決してやましい気持ちではないです、決して)

は〜安定のかっこよさ。ライブのクオリティの高さ。メンバーの人柄の良さ。何度行っても決して裏切られません。コンスタントにアルバムを出してツアーしてくれて、本当にありがとうみんな。。。


会場の外に出ると、少し雨が降っていました。急ぎ足でホテルに戻ると、同じライブに参加していたと思われる人がたくさんいました。考えることはみんな一緒ですね。そして嬉しいことに、ロビーではWalk The Skyのアルバム収録曲が流れていました。なんて粋な計らいでしょう。そういえば、2017年にイギリスに遠征した際も、Alter Bridgeの曲名と同じ「Blackbird」というパブが会場近隣にあったのですが、外の看板にBlackbirdの歌詞が手書きで描かれていて感動しました。お店とバンドは恐らく何の関係もないはずですが、誰かからAlter Bridgeのことを聞いたお店の人が気を利かせてくれたのだと思います。


さて、次はいよいよ、私にとって最後のオスロ公演について書きます。Stay tuned!

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